icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

私の経験例

脳卒中発作により黄疸・腹水の消失した肝硬変の一例

著者: 内潟雅信1

所属機関: 1虎の門病院神経内科

ページ範囲:P.1969 - P.1969

文献概要

 神経内科の領域では,CTスキャンの導入,神経化学,ウイルス学の進歩などにより,診療レベルが最近著しく向上しつつある.しかし,患者側からの情報があまりにも乏しい時はその診断に苦労することが少なくない.
 患者は52歳男性.数年来の肝硬変のため常時,黄疸・腹水を有していたが,3年前突然脳卒中発作を起こした.発作後奇妙なことに腹水が消失し,また腹水より腫瘍細胞が疑われたため,それらの精査と発作後頻発するけいれん発作の治療を兼ね入院となった.神経学的には知覚障害を伴う右片麻痺を示し,強い関節拘縮もみられた.深部反射は右側で亢進し,Babinski徴候陽性,他に重度の失語(主に運動性)と失書・計算力低下などが認められた,発作が突発している点と心房細動を有することからまず脳塞栓を疑った.一般理学的には血圧100/70,脈拍毎分90(不整)で,頸静脈の著明な怒張,腹壁静脈怒張,足背浮腫および黄疸が認められた.なお腹水,肝脾腫は認められず肝機能上も肝硬変を示唆する所見は得られなかった.胸部X線より胸膜肥厚のほかに心陰影の中等度拡大,第4弓内側の石灰化が認められ,さらに心カテにて典型的なdip and plateauが得られ慢性収縮性心膜炎の診断が下された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら