icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

私の経験例

SLEによる痙攣発作

著者: 田中亮一1

所属機関: 1阪大病院第4内科

ページ範囲:P.2019 - P.2019

文献概要

 患者は48歳の女性で主婦.主訴は全身性痙攣発作.家族歴,既往歴は特記すべきことなし.現病歴としては,昭和49年春頃,手の関節のこわばりに気づく.5月初旬より37℃台の微熱持続した.この頃,家庭内で心労が多かった.6月中旬夕方突然全身強直性痙攣,続いて昏睡状態となり近医に緊急入院.昏睡は約2時間持続した.3日後当院転院.身長160cm,体重45kgの神経質な婦人.意識は清明で,体温37.5℃,血圧124/64mmHg,両側耳下腺触知,腋窩,鼠径部リンパ節触知,関節はとくに異常なし.神経学的にも異常を認めなかった.入院後の検査にて,尿蛋白(±),沈渣異常なし.貧血,白血球減少,血沈亢進,γ-グロブリン高値を認め,膠原病の存在を疑わしめたが,ワ氏反応,抗甲状腺抗体,RA,ANF,LEテスト,LE細胞現象は陰性であった.痙攣発作は入院後みられず,神経学的所見に乏しく,脳脊髄液も正常,脳波にて時に徐波を認めるも特有のスパイクはなく,入院前に家庭内での心労が重なっていたことより,痙攣の原因をpsychogenic reactionと考えた.耳下腺を触知したことよりSjögren病を疑った.自覚的に乾燥症状は著明でなかったが,唾液腺造影にて拡大像を認め,Sjögren病疑いの診断のもとにステロイド療法を開始した.退院後,調子がよいため,またステロイドの副作用を懸念し勝手に内服を中止し,通院しなくなった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら