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臨時増刊特集 診断基準とその使い方 VII.膠原病・免疫・アレルギー疾患
結節性動脈周囲炎
著者: 吉沢久嘉1
所属機関: 1国立相模原病院内科
ページ範囲:P.2032 - P.2034
文献購入ページに移動結節性動脈周囲炎periarteritis nodosaは1866年KussmaulおよびMaierによってはじめて紹介されたものである.その特徴として中小動脈の走向に沿った分節的な血管炎による結節をふれ,かつ諸臓器にもかかる病変の存在することが剖検で確かめられて,病理学的にこの名称が与えられた.しかし,その後必ずしも結節のみられぬものもあり,また病理組織学的には動脈周囲のみならず,全層にわたって病変を示すことが明らかとなってからは,むしろ多発性動脈炎polyarteritisと呼称するほうがより妥当と考えられている.さらに最近では,動脈のみならず静脈も含めて,炎症と壊死を伴うすべての血管病変をもつ疾患を一括して広く壊死性血管炎と呼称し,この概念の中で本症を捉えようとする方向にある.
壊死性血管炎にはまだ十分な分類がなされていない.他の膠原病に伴うものや薬物によるものなど,原因の明らかな,いわば二次的な病変と,原因不詳のものとに大別すれば,本症は後者のカテゴリーに入る.
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