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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

臨時増刊特集 診断基準とその使い方

X.感染症

敗血症・菌血症

著者: 長谷川弥人1

所属機関: 1慶大内科

ページ範囲:P.2156 - P.2158

文献概要

概念
 敗血症(septicemia)とは端的に表現すれば菌血症(bacteremia)を主症状とする全身感染症の一つの疾病単位で,その特徴として菌種に特異的な病変をほとんど示さないし,放置すれば死に至る経過をたどる.菌血症とは症状名であり,流血中に菌が存在することである.すなわち,腸チフスや肺炎双球菌性肺炎では流血中に菌を証明するが,これは菌血症で敗血症とはいわない.また抜歯,尿管カテーテル使用中などにも流血中に菌を証明できるが,これも一過性菌血症と呼ぶ.しかし,胆道感染症や血液疾患,とくに老人,糖尿病患者,抗腫瘍剤,副腎皮質ステロイド使用中の患者の流血中に菌を証明した時,菌血症であるか敗血症であるかは,抗菌剤を投与しないで経過をみないと鑑別はほとんど不可能である.また菌血症は,たとえ一過性であっても,敗血症となり得る可能性がある.臨床家の立場としては治療上,両者を必ずしも強いて鑑別の必要はなく,重きに従って敗血症として取り扱ってよいと思う.細菌性心内膜炎(bacterial endocarditis)とは心内膜に細菌感染を起こしたもので,換言すれば心内膜に敗血巣を有する敗血症である。亜急性細菌性心内膜炎(subacute bacterial endocarditis)とは心内膜のうち経過が遷延するもので,主として緑連菌群が原因菌である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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