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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

文献概要

私の経験例

原発巣が膵癌か胃癌か診断に迷った症例

著者: 渡辺昌裕1

所属機関: 1北野病院内科

ページ範囲:P.2191 - P.2191

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 原発巣が不明で転移巣のみがはっきりしている悪性腫瘍例を経験することはしばしばあるが,膵および胃に腫瘍病変が認められるのに,どちらが原発巣かを決定するのに困難であった症例を経験した.胆石症にて胆嚢摘除術を受けた既往歴のある64歳女子が,るいそうと発熱を主訴として入院.眼瞼結膜やや貧血ぎみ.黄疸はない.腹部では中央部に3×4横指大の硬い腫瘤を触知し軽度の圧痛を伴う.肝は2横指触知し,表面は粗大顆粒状である.検便にて潜血反応強陽性.血液一般検査で貧血を認める.LDH 1,200,CRP 5+,血清蛋白5.2g/dl,α1,α2グロブリン分画の増加をみる.GOT,GPTは正常であるがAl-P 29.2(K-A)と上昇.α-フェト蛋白陰性.血中および尿中アミラーゼ値は正常.50gGTTでは境界型を示す.上部消化管透視で前庭部のBorrmann III型胃癌が疑われた.胃ファイバースコープでもBorrmann III型を思わせる所見を認めたが,同時に施行した生検組織像はchronic gastritis,no malignantfindingであった.肝シンチは肝門部および右葉上部にspace occupying lesionを認め,膵シンチでも体部にspaceoccupying lesionを認めた.この患者は全身衰弱著明で死亡したが,生前には膵癌が胃へ浸潤および肝転移したものか,胃癌が膵へ浸潤および肝転移したものかは鑑別困難であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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