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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

文献概要

私の経験例

狭心症が先行した肺梗塞の一例

著者: 渡辺昌裕1

所属機関: 1北野病院内科

ページ範囲:P.2233 - P.2233

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 心筋梗塞と肺梗塞を症状のみから鑑別することは困難なことが多いが,狭心症が先行したために肺梗塞を診断できなかった症例を経験した.
 高血圧および心筋梗塞の既往歴のある79歳女子で,右片麻痺を伴う脳血栓症のため8カ月間臥床入院中であった.心電図は正常洞調律,電気軸+60°,胸部誘導のV1,V2にてQSパターンを認めるが,ST下降,T波の逆転は認めない.SV1+RV5=35mm.胸部X線正面像はCTR=0.56,肺野に異常陰影を認めない.血液一般検査で軽度の貧血をみるが,血清総コレステロール,トリグリセライド,尿酸,空腹時血糖値などは正常で肥満もない.死亡5日前に胸骨裏面に激しい痛みを訴え,心電図で左側胸部誘導に著明なST・下降を認めた.ニトログリセリン錠舌下により胸痛発作と心電図所見の改善をみた.呼吸困難はなく,同日撮影の胸部X線で著変なく,GOT,GPT,LDH,白血球数なども正常であった.死亡当日に同様の胸痛発作をきたし,軽度の呼吸困難および軽度のチアノーゼを伴い,肺野に乾性ラ音を聴取し,心音は微弱であった.心電図では胸部誘導のV1,V2でST上昇し,肢誘導の1,aVL,胸部誘導のV4,V5,V6でST高度に下降し,T波の陰性化を認めたが,電気軸は不変であった.ニトログリセリン錠は無効であり,血圧低下をきたして死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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