文献詳細
文献概要
今月の主題 知っておきたい骨・関節疾患の診かた 頸・肩を中心に
肩こり
著者: 三好邦達1
所属機関: 1聖マリアンナ医大整形外科
ページ範囲:P.2277 - P.2280
文献購入ページに移動はじめに
元来,「こり」とは医学的には筋の緊張が亢進した状態で起こる自覚症状であり,しばしば「だるい感じ」や持続する鈍痛を伴うものもある.肩こりというのは,このような症状を項部から僧帽筋部,肩甲間部にかけて訴えるものを指しているものである.
肩こりは,筋自身に一次的原因があって発来する場合もあり,筋肉を支配する神経の異常からくることもあるが,全身の循環障害の部分症状であることもあり,筋肉を栄養する血液の成分異常からも発生するとも考えられている.すなわち,血圧の異常,高血圧や低血圧でも肩こりが起こり,自律神経失調症や更年期障害などの不定愁訴としても肩こりを訴え,交感神経の緊張や筋の代謝異常が成因ではないかと考えられている.このほか,貧血やビタミンB1欠乏,内分泌疾患,呼吸器病,消化器病,リウマチ,心因性などでも肩こりが起こり,眼鏡が適当でなかったものにも起こることがあるので,肩こりのすべてが病的現象であるとはいえない.このように,肩こりの原因は種々であり,しかも原因のいくつかが重なりあって起こるものであるが,われわれ整形外科領域では,肩こりの訴えはいわゆる頸腕症候群と呼ばれるものに最も多い.
元来,「こり」とは医学的には筋の緊張が亢進した状態で起こる自覚症状であり,しばしば「だるい感じ」や持続する鈍痛を伴うものもある.肩こりというのは,このような症状を項部から僧帽筋部,肩甲間部にかけて訴えるものを指しているものである.
肩こりは,筋自身に一次的原因があって発来する場合もあり,筋肉を支配する神経の異常からくることもあるが,全身の循環障害の部分症状であることもあり,筋肉を栄養する血液の成分異常からも発生するとも考えられている.すなわち,血圧の異常,高血圧や低血圧でも肩こりが起こり,自律神経失調症や更年期障害などの不定愁訴としても肩こりを訴え,交感神経の緊張や筋の代謝異常が成因ではないかと考えられている.このほか,貧血やビタミンB1欠乏,内分泌疾患,呼吸器病,消化器病,リウマチ,心因性などでも肩こりが起こり,眼鏡が適当でなかったものにも起こることがあるので,肩こりのすべてが病的現象であるとはいえない.このように,肩こりの原因は種々であり,しかも原因のいくつかが重なりあって起こるものであるが,われわれ整形外科領域では,肩こりの訴えはいわゆる頸腕症候群と呼ばれるものに最も多い.
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