icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina14巻13号

1977年12月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい骨・関節疾患の診かた 腰背部を中心に

腰部脊柱管狭窄症

著者: 若松英吉1

所属機関: 1東北大整形外科

ページ範囲:P.2304 - P.2307

文献購入ページに移動
腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis)の概念
 1954年,Verbiestは腰部脊椎の後部要素である椎弓の発育が悪く,狭い脊柱管が形成された場合には馬尾神経が圧迫され,馬尾神経性間敏破行という特徴ある症状を呈する症例のあることを初めて報告している,Verbiestは先天的ないし発育的な障害による腰部脊柱管の狭小化に焦点をおき,developmental stenosisなる言葉を生ませた.その後,Epsteinら(1960)やEhniら(1965)は,狭小な腰部脊柱管に広い意味の変形性脊椎症的変化が加わると,馬尾神経性間歓破行を呈する症例のあることを記載している.しかし,EpsteinやEhniの変形性脊椎症の解釈はかなり広い意味のものであって,椎聞板の変性に起因する椎体辺縁の骨棘形成状態だけでなく,脊椎後方の椎間関節の関節症をも含めているふしがある.
 発育障害にしろ変性的変化にしろ,狭い腰部脊柱管が形成され,症状を呈するものに対しはっきりとIumbar spinal stenosisといっているのはSchatzkerら(1968)である.その後,1umbarspinal stenosisは診断名として広く使われるようになってきている.本邦で腰部脊柱管狭窄症とか腰椎椎管狭窄症という診断名が使われるようになったのは,1970年以後である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?