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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻13号

1977年12月発行

文献概要

図解病態のしくみ 高血圧シリーズ・7

発症機序の推論

著者: 青木久三1 望月章博1

所属機関: 1名市大第2内科

ページ範囲:P.2348 - P.2351

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Pageのモザイク説
 Pageは,心臓・血管系は血液で組織を灌流する器官であり,必要量の血液を組織に供給するために動脈圧が必要であると考えた.この組織灌流圧は血圧に依存し,血圧は神経因子,血管壁弾性,心拍出量,血液粘稠度,血管内径,血流量,血管反応性および体液因子などの8因子が相互に関連して調節され,それによって恒常性のある正常血圧の維持が営まれていると推察した.そして,いずれかの因子の異常にて,血圧の恒常性維持が破綻し,正常血圧維持が不可能になり,血圧が上昇して高血圧症が発症するとの仮説を提案した(図1).これがPageの有名な血圧調節に関する高血圧のモザイク学説(the mosaic theory of hypertension,1960)である1)
 さらに,高血圧症の発症には,主としていずれかの1因子が昇圧的に作動して高血圧が発症する.たとえば,神経因子が優位に作動した神経性高血圧,内分泌因子が優位に作動した内分泌性高血圧症の存在を説明した.そして高血圧発症機序に関与する因子を,①神経性,②内分泌性,③心臓・血管性および④腎性因子の4群に分けた.神経系は急激な血圧の変化を直ちに調節する系統で,ホルモン,内分泌,電解質などは長期間にわたる慢性血圧異常,慢性の高血圧症に関与する系統としている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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