文献詳細
文献概要
ブラリマリー・ケアの実際
尿閉
著者: 大山朝弘1
所属機関: 1沖縄県立中部病院泌尿器科
ページ範囲:P.2360 - P.2363
文献購入ページに移動尿閉とは
膀胱に尿が充満しているにもかかわらず尿を全部出せない状態を尿閉と呼び,まったく排出しえない状態を完全尿閉complete urinary retention,一部を排出し残尿の多い状態を不完全尿閉incomplete urinary retentionという.臨床的には突発的に排尿不能になる急性尿閉acute urinary retentionと排尿障害の漸次進行する慢性尿閉chronic urinary retentionに分けて考えるほうがよい.一般的に急性尿閉が完全型,慢性尿閉は不完全型をとりやすい.排尿に関与する神経,膀胱,尿道およびその隣接臓器のいずれかに障害があっても円滑な排尿は行われないし,精神的な因子によっても排尿が不能になることも珍しくない1),
急性尿閉はかなりの苦痛を伴うが,一般に生命の危険はない.しかし動脈硬化症や高血圧のみられる老人では,急激な血圧上昇による脳内出血をひき起こすこともあり得るので,このような患者に対しては早めに苦痛をとってやらねばならない.排尿障害が長期化するにつれ自覚症状はむしろ軽快し,本人にとっても治ったと思われる時期がくる.すなわち奇異性尿失禁paradoxical oroverflow incontinenceをきたし,尿は一定間隔でもれるようになり,本人の意志とはまったく無関係に尿が出てしまうのである.
膀胱に尿が充満しているにもかかわらず尿を全部出せない状態を尿閉と呼び,まったく排出しえない状態を完全尿閉complete urinary retention,一部を排出し残尿の多い状態を不完全尿閉incomplete urinary retentionという.臨床的には突発的に排尿不能になる急性尿閉acute urinary retentionと排尿障害の漸次進行する慢性尿閉chronic urinary retentionに分けて考えるほうがよい.一般的に急性尿閉が完全型,慢性尿閉は不完全型をとりやすい.排尿に関与する神経,膀胱,尿道およびその隣接臓器のいずれかに障害があっても円滑な排尿は行われないし,精神的な因子によっても排尿が不能になることも珍しくない1),
急性尿閉はかなりの苦痛を伴うが,一般に生命の危険はない.しかし動脈硬化症や高血圧のみられる老人では,急激な血圧上昇による脳内出血をひき起こすこともあり得るので,このような患者に対しては早めに苦痛をとってやらねばならない.排尿障害が長期化するにつれ自覚症状はむしろ軽快し,本人にとっても治ったと思われる時期がくる.すなわち奇異性尿失禁paradoxical oroverflow incontinenceをきたし,尿は一定間隔でもれるようになり,本人の意志とはまったく無関係に尿が出てしまうのである.
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