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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻2号

1977年02月発行

文献概要

診断基準とその使い方

胆道感染症

著者: 岩村健一郎1

所属機関: 1東海大第3内科

ページ範囲:P.248 - P.251

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概念
 胆道感染症を臨床的にとらえるきっかけとなるのは,胆嚢炎あるいは胆管炎という意味で炎症症状がひき起こされたときに,十二脂腸液採取により,B胆汁中に細菌を検出することにあると考えてよい.健常人のB胆汁中に細菌が証明されることがあり,逆に胆嚢炎患者の胆嚢内胆汁に細菌がみとめられないことがある,このようなことからchemical cholecystitis(Andrews,1935)という考えが示されるに至り,起炎物質として膵液酵素あるいは胆汁酸がとりあげられ,さらに胆汁酸代謝への細菌の関与という観点から,胆道感染症における細菌感染の意義が検討され,今日に至っている.細菌感染の意義が一次的なものであるにせよ,二次的なものであるにせよ,これに胆汁流出障害,胆道の組織障害,全身性防禦力低下などの条件が加わって,胆道感染症が発症する.
 胆道感染症において検出される細菌は主として大腸菌,連鎖球菌,ブドウ球菌であり,それよりも頻度は少ないがプロテウス菌,腸球菌,サルモネラ菌群である.淋菌あるいは梅毒スピロヘータは極めて稀である.結核性胆嚢炎(Gaucher,1870)もまた報告されている.高齢の糖尿病にしばしばみられる好気性あるいは嫌気性ガス産生菌の感染(Sarmiento,1966)による気腫性胆嚢炎(Weichand Flexner,1896)が報告されている:感染経路については表1に総括する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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