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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻4号

1977年04月発行

天地人

強者と弱者

著者:

ページ範囲:P.609 - P.609

文献概要

 昔さる教授が,学生にむかって,ここに複数の患者がいるとして,どの患者からさきに診るのかという旨の質問をした.学生が答に困っていたところ,「もっとも重篤な患者をまっさきに診るのに決まっているではないか」と一喝されたという.納得できる話である.
 ところが,同じことでも,場面がちがえば様相はまったく異なってくる.戦場で,いわゆる大量傷者がでた場合,軽傷者から診るのだそうである.所詮助からないような重傷者に手をとられていては,助かるものも助からないという人間経済の上での発想で,きわあて非人道的な響があるが,戦場そのものがもともと非人道的な場であることを考えると,そのときの医療も,戦場のモラルに立脚しなければならぬということになる.とすれば,この話も解らぬわけではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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