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小児と隣接領域
小児皮膚科—こどもの手
著者: 山本一哉1
所属機関: 1国立小児病院皮膚科
ページ範囲:P.770 - P.771
文献購入ページに移動すでにしばしば指摘しているように,また,誰でも経験しているように,小児の皮膚疾患患者は低年齢者ほど多い傾向がある.すなわち,小学校入学年齢以下の者が最も多く,全体の約3/4を占めている.この年齢層の患者の疾患頻度をみると表1〜3のようになる1).湿疹・皮膚炎群が圧倒的に多いことはいうまでもない.なかでも2〜3歳児で,それが目立っている.一方,皮膚感染症もこの年代では,上位に並ぶ傾向が明瞭にみられてくる.このような疾患の内容の変化には,種々の要因が関与するであろう.まず,幼児期になると,その行動範囲は拡大し,仲間との接触も増してくる.その結果,感染症は増加しようし,外界からの皮膚に対する刺激も増加の一途をたどることになる.とくに手の皮膚は,そのような機会が急増する部位といえよう.患者数の多い湿疹・皮膚炎群は,接触刺激の影響を大きく受ける疾患であり,感染症もまた手指を介して拡がることが少なくない.このように考えてくると,小児皮膚疾患患者の診療時には,その手に注目せざるをえない.
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