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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻6号

1977年06月発行

文献概要

図解病態のしくみ 高血圧シリーズ・2

高血圧症における心筋・血管平滑筋の収縮異常

著者: 青木久三1

所属機関: 1名市大第2内科

ページ範囲:P.890 - P.892

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心筋・血管平滑筋の収縮・弛緩とCa2+の動態
 血圧の高さを決定する心臓と血管機能は,心筋・血管平滑筋自体の固有の自動調節系,および神経系,内分泌系,レニン・アンギオテンシン系,電解質系などの外来性調節系との協調ある制御によって,主として血圧と心拍数の変動を介して,恒常性のある最適な血液循環の維持を計っている.これらは心筋・血管平滑筋の筋収縮と弛緩によるが,その機序は松田らおよび江橋らによりとくにCa2+の動態との関連において漸次解明されつつある.すなわち,筋細胞膜の興奮(活動電位,脱分極)に伴って膜のCa2+透過性が高まり,細胞外から細胞内へCa2+が流入して(Ca2+channelへのCa2+増加とslow inward Ca2+Currentの発生)細胞内Ca2+濃度が増加する.また,膜の脱分極または細胞外から流入したCa2+によって筋小胞体(細胞内Ca2+貯蔵部位)からCa2+が遊離し,細胞内遊離Ca2+濃度が増加する.このようにして増加した細胞内Ca2+はトロポニンに結合し,アクチン・ミオシンATP系を活性化し,筋は収縮(緊張,短縮)する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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