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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻7号

1977年07月発行

文献概要

今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた グラフ

内視鏡的乳頭切開術による胆石の除去—乳頭部下部切開法とその適応

著者: 税所宏光1 唐沢英偉1 大藤正雄1

所属機関: 1千葉大第1内科

ページ範囲:P.969 - P.976

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はじめに
 内視鏡的乳頭切開術による胆管胆石除去法は,胆汁酸製剤,とくにケノデオキシコール酸による胆石溶解療法とならんで,胆石症の治療における最近の話題である.本法は現在,わが国,ドイツおよびアメリカなどで臨床的に応用され,有用性が報告されつつある1〜5).しかし,術後多くの症例では乳頭部閉鎖不全をきたし,胆管内への逆流現象が認められる.また,大出血,十二指腸穿孔など重篤な合併症を伴う場合があるため,切開法に検討の余地が残されている.切開の範囲が大きいほど出血,穿孔などの危険は増し,乳頭部閉鎖不全を生ずると考えられるが,小切開にすぎても術後狭窄などの問題を残す.
 乳頭を通じて胆石除去を意図する乳頭切開術を述べる前に,その考え方の基礎として,胆石が乳頭から自然に排出され治癒する場合が少なくない事実を重視し,分析する必要がある.自然の胆石排出機序を応用した乳頭切開法を行えば,少ない侵襲で,安全かつ効果的に胆石を除去することができると考えられる.胆管胆石自然排出例の検討に基づいて乳頭部下部切開法を実施し,胆管胆石の除去において良好な成績を得たので,本法の実際と自験例の成績および胆管X線像からみた適応について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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