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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻7号

1977年07月発行

文献概要

今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた 注目すべき腹痛

膵疾患

著者: 中沢三郎1

所属機関: 1名大第2内科

ページ範囲:P.984 - P.988

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自覚症状
 腹痛 膵疾患の自覚症状の中で腹痛の占める頻度は極めて高く,膵疾患診断上,腹痛の特徴を理解することが不可欠である.膵疾患における腹痛としては,一般的には①主として上腹部に存在し,②背部痛を伴いやすく,③持続的である,④痛みをこらえるために前屈姿勢をとる,⑤鎮痛剤が効きにくい,⑥飲酒,脂肪食摂取で増強する,などがあげられる.
 痛みの程度は漠然としたものから激烈なものまで広範囲にわたっており,部位と強さは病変の程度と拡がりに関係する.Blissらによれば,膵に電気的刺激を与えると刺激部位と疼痛部位は一致したという.しかし,膵臓痛の発生機序としては膵間質の浮腫,膵被膜の伸展,内臓神経の刺激,限局性腹膜炎,十二指腸乳頭部の機能的,機械的狭窄,膵管内圧上昇その他があげられており,これらが複雑に相互に影響し合っていると考えられるので,膵臓痛といっても単純なものではなく,疾患により,病態により腹痛の性状も異なってくると考えねばならない.Katsch以来,膵臓痛の特徴とされてきた左上腹部痛は急性膵炎の5〜20%にしかみられないといわれており,現在ではそれほど重要視されない.たとえば,膵炎は胆石症から二次的に惹起される場合が多いが,腹痛は右上腹部に訴えることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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