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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻7号

1977年07月発行

文献概要

今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた 注目すべき腹痛

血管疾患に基づくもの

著者: 太田怜1

所属機関: 1自衛隊中央病院研究検査部

ページ範囲:P.994 - P.995

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病変が心・大血管に限られているもの
 このような条件で,痛みを伴って急に発症するものといえば,心筋梗塞と解離性大動脈瘤がその主たるものである.いずれも胸痛を主訴とするが,腹痛で始まる場合も稀ではない.心筋梗塞についていえば,全体の20%近くが心窩部痛ないしは上腹部痛で発症している.下壁梗塞の場合に多くみられる.事実,筆者らも,立派な心筋梗塞でありながら,腹痛のため,胃疾患とまちがわれ,消化器疾患の病棟に入院させられた患者を経験している.これを誤診しないためには,心筋梗塞でも,上腹部痛で発症する場合のあることを銘記しておくことであろう.したがって,急性腹症と思っても,心筋梗塞の好発年齢の患者の場合は,念のため心電図検査を行うべきである.
 解離性大動脈瘤が腹部大動脈から発生することは比較的稀で,2.0〜2.5%程度であるが,それでも,そのような場合は腹痛で発症する.しかし,どちらかといえば,腰痛に近い痛みであり,その始まりも電撃的である.また,解離の進展とともに痛みの場所が移動する.たとえば,最初は上腹部痛で発症したが,そのうち背中から胸部にかけて痛みが放散してきたということであれば,解離性大動脈瘤が疑われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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