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ここにも医療あり
人間はどこまで高さに耐えられるか—高所医学と取り組む
著者: 万木良平1
所属機関: 1航空医学実験隊第3部
ページ範囲:P.1070 - P.1071
文献購入ページに移動 人類はその長い歴史のなかで,地球表面の海面に近い陸地で,比較的温暖な気候の地域を中心に繁栄してきた.ここには,太陽エネルギー,豊富な水と食物,21%の酸素を含む1気圧の空気があり,人体はその環境に適応し順化した機能と形態をそなえてきた.ところが,現代のように,与えられた空間から逸脱して,人間にとって不適当な環境にまで生活圏が拡大されてくると,必然的に環境への不適応現象が生じてきた.事の善悪は別として,現実にこういった現象が起こっている以上,人命守護の立場にある医者として,黙ってこれを見過ごすわけにはゆかない.私が環境適応生理学の研究を志したのは,別に意識したわけではないが,このような潜在的な動機があったからであろうと思っている.
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