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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻8号

1977年08月発行

文献概要

今月の主題 癌治療の最前線

癌治療の最前線

著者: 古江尚1 込田暉雄1

所属機関: 1帝京大第2内科

ページ範囲:P.1082 - P.1084

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癌死亡数の移り変わり
 最近のわが国の癌死亡数の移り変わりをみてみると,いくつかの新しい傾向が指摘できる.まず第1は,癌死亡数の漸増である.最近では1年間の癌死亡数は13万人を越える.第2は,わが国の癌死亡の大きい部分を占めていた胃癌と子宮癌の漸減である.その原因は,にわかには断定はできないが,この2つの癌については,早期発見,早期治療の効果がようやくあがり始めたことが有力な一つの要因として指摘できるであろう.第3は,肺癌の著しい増加,ついで膵癌,大腸癌,前立腺癌,乳癌,白血病の増加であろう.これらの癌の増加の原因もまた速断はできないが,しかしわが国の文明の進歩と決して無縁ではないはずである.
 以上の変化を一言でいえば,わが国の癌の西欧化という言葉で表現できる.そしてかかる傾向は今後もますます強くなることが考えられるのであって,わが国の癌対策もそれに応じた施策が考慮されなければならない.胃癌の早期診断の考え方,技術は,今日わが国においてはすでに普遍化されている。肺癌や大腸癌においても,早期診断技術が確立され,ルーチン化が計られつつある.問題は肝癌や膵癌など深部に存在する癌である.しかし,ここでもいろいろの新しい診断技術が導入され,これらの臓器の癌もかなりのところまで診断できるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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