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文献概要
今月の主題 癌治療の最前線 放射線療法
放射線生物学の進歩
著者: 津屋旭1
所属機関: 1癌研放射線科
ページ範囲:P.1085 - P.1091
文献購入ページに移動放射線生物学とは
現在の放射線治療の主力は,60Coガンマ線,超高圧ライナックX線(4〜8MeV)またはベータトロン電子線(15〜40MeV)であり,最近約20年間の進歩にはめざましいものがある.癌の放射線生物学は,個々の癌細胞および癌組織の生態を明らかにするとともに,放射線の癌細胞に対する致死効果とその機序を解明することを目的とする.放射線治療の臨床においては,癌組織と周囲の正常組織(腫瘍床)が同一照射野で照射されるために,治療効果は正常細胞または正常組織との対比で論ぜられる.両者には,それぞれ細胞レベルでは説明できない組織レベルの問題(たとえば組織構築-血管系の関与,anoxic compartment, cell compartment,回復,再生,分化など),さらには個体レベルの問題(放射線感受性の種差,個体差,免疫など)もあり,臨床との間のギャップは大きい.癌の放射線生物学と放射線治療は,両者の絶えざるfeed backによって進歩してきたが,癌の放射線治療計画に多くの示唆を与えている.その間の事情を少々詳しく紹介することとする.
現在の放射線治療の主力は,60Coガンマ線,超高圧ライナックX線(4〜8MeV)またはベータトロン電子線(15〜40MeV)であり,最近約20年間の進歩にはめざましいものがある.癌の放射線生物学は,個々の癌細胞および癌組織の生態を明らかにするとともに,放射線の癌細胞に対する致死効果とその機序を解明することを目的とする.放射線治療の臨床においては,癌組織と周囲の正常組織(腫瘍床)が同一照射野で照射されるために,治療効果は正常細胞または正常組織との対比で論ぜられる.両者には,それぞれ細胞レベルでは説明できない組織レベルの問題(たとえば組織構築-血管系の関与,anoxic compartment, cell compartment,回復,再生,分化など),さらには個体レベルの問題(放射線感受性の種差,個体差,免疫など)もあり,臨床との間のギャップは大きい.癌の放射線生物学と放射線治療は,両者の絶えざるfeed backによって進歩してきたが,癌の放射線治療計画に多くの示唆を与えている.その間の事情を少々詳しく紹介することとする.
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