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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻8号

1977年08月発行

今月の主題 癌治療の最前線

免疫療法

免疫療法の実際

著者: 服部孝雄12

所属機関: 1広島大原医研 2広島大外科

ページ範囲:P.1126 - P.1128

文献概要

はじめに
 近年,癌の免疫療法が一躍脚光を浴びている.この異常とも思えるブームが,免疫療法に対する過大な期待につながりはしないか,という心配の方がむしろ大きいくらいである.すでに,しばしば指摘されているように,現在臨床に使われている癌の免疫療法は,すべて非特異的な免疫療法ばかりで,特異的なものは,まだ臨床に使えるところまでに至っていない.したがって,免疫療法単独で大きな効果を期待するのはまったく無理なことであり,現状では,あくまでも手術療法,放射線療法,あるいは化学療法などの補助の意味で使用されるべきである.
 一方,癌患者では,一般に癌の進行とともに免疫能が低下することが知られている,免疫能があるレベル以下に低下したような癌の患者では,免疫療法も含めて,化学療法などの治療効果がほとんど期待できないことも知られている.したがって,このような患者は免疫療法の適応とならない,という考えも一部には示されているが,これは進行癌患者にはいかなる治療も無意味であるという考えと共通である.現状では一時的な効果でも,進行癌の治療としては十分に意味があるはずであり,そこまでも否定することはできない.先にも述べたように,癌の免疫療法が補助的な療法である以上,もしそれに大きなマイナスがないのであれば,積極的に併用して,少しでも化学療法などとの併用効果を期待しようという考え方は,それなりに十分有意義なことと考えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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