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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻9号

1977年09月発行

文献概要

演習・X線診断学 血管造影写真読影のコツ・9

小腸・大腸疾患

著者: 甲田英一1 平松京一1

所属機関: 1慶大放射線診断部

ページ範囲:P.1293 - P.1300

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はじめに
 小腸,大腸は管腔臓器であり,その疾患の大部分は粘膜面から発するものです.これらの粘膜面から発生する疾患を,血管という漿膜面から進入していくものを造影することによってその診断を進めていくことは,現在われわれが使用できるX線装置の分解能をもってしては,不利な面があることは前回でも述べました.現在,われわれがこれらの粘膜面の疾患,とくに癌の診断に際して血管造影を行う意義は,癌の深達度とその管腔外への浸潤範囲,および血管解剖を知ることだといったとしても過言ではないでしょう.これらの決定は,術式や予後の判定に重要なかかわりをもっているからです.また,癌と炎症性疾患や肉腫との鑑別に有力な武器となることはいうまでもありません.
 このほかに小腸,大腸の血管造影を行う適応として,消化管出血,塞栓症,炎症性疾患(結核,憩室炎,潰瘍性大腸炎,クローン病)などがあります.とくに潰瘍性大腸炎,消化管出血の血管造影時には,それぞれカテーテルより副腎皮質ホルモン,血管収縮剤を注入することによって,診断と治療を兼ね行うことができます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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