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臨床病理医はこう読む—免疫血清検査・1
クームス試験
著者: 伊藤忠一1
所属機関: 1岩手医大中検
ページ範囲:P.1324 - P.1325
文献購入ページに移動貧血の分類のために
まず貧血の形態学的分類をするために,MCVおよびMCHを算出してみた.それぞれ112μ3(正常範囲80〜100μ3),41.5Pg(正常範囲27〜32pg)で,大球性,高色素性であることがわかる,この種の貧血に属するものには再生不良性貧血,溶血性貧血,肝疾患や悪性腫瘍の骨転移に続発する貧血などがある.また本症例の貧血の原因についてみると,赤血球寿命の短縮,クームス試験陽性など後天性溶血性貧血が最も強く示唆される成績である.本症例ではさらに,総ビリルビン6.4mg/dl,間接ビリルビン5.6mg/dl,LDHの高値,Hpの低値など,いずれも血管内溶血機序亢進を裏づける成績が同時に得られた.
溶血性貧血は,赤血球自身の欠陥によって赤血球の崩壊が亢進する場合と,赤血球以外の因子による場合とがあるが,前者は発作性夜間血色素尿症を除けばすべて先天性と考えてよい.一方,後者のほとんどは後天性である.クームス試験は,これら後天性溶血性貧血の診断,鑑別に必須の検査法である.
まず貧血の形態学的分類をするために,MCVおよびMCHを算出してみた.それぞれ112μ3(正常範囲80〜100μ3),41.5Pg(正常範囲27〜32pg)で,大球性,高色素性であることがわかる,この種の貧血に属するものには再生不良性貧血,溶血性貧血,肝疾患や悪性腫瘍の骨転移に続発する貧血などがある.また本症例の貧血の原因についてみると,赤血球寿命の短縮,クームス試験陽性など後天性溶血性貧血が最も強く示唆される成績である.本症例ではさらに,総ビリルビン6.4mg/dl,間接ビリルビン5.6mg/dl,LDHの高値,Hpの低値など,いずれも血管内溶血機序亢進を裏づける成績が同時に得られた.
溶血性貧血は,赤血球自身の欠陥によって赤血球の崩壊が亢進する場合と,赤血球以外の因子による場合とがあるが,前者は発作性夜間血色素尿症を除けばすべて先天性と考えてよい.一方,後者のほとんどは後天性である.クームス試験は,これら後天性溶血性貧血の診断,鑑別に必須の検査法である.
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