文献詳細
文献概要
今月の主題 人工透析か腎移植か 腎移植の現況 カラーグラフ
腎移植術式
著者: 佐川史郎1
所属機関: 1阪大泌尿器科
ページ範囲:P.1437 - P.1439
文献購入ページに移動はじめに
腎移植の移植部位は,今世紀はじめの動物実験では,頸部や大腿部に行われており,臨床例でも初期には大腿部に移植され尿管皮膚瘻術にしたものや,受者の腎動静脈へ同所性移植が行われたこともある.しかし,大腿部への移植では尿管皮膚瘻からの感染を生じやすく,同所性移植は,手技が困難であり,これらの欠点を解消するものとして,腸骨窩後腹膜において,腸骨動・静脈と移植腎動・静脈を吻合し,尿管は膀胱へ新吻合する術式が開発され,現在の標準手技となっている.
移植側は,提供者の腎地管系・尿路系の異常の有無や左右腎機能差の有無により選択されるが,両腎ともに異常がないときは,提供者の左腎を受者の右腸骨窩に移植する.その理由は,左腎は腎静脈が長く,しかも受者の腸骨動・静脈は右側のほうが浅い位置にあり,手術操作が容易でかつ術後の血管系合併症が少ないからである.以下に標準的な腎移植術式について述べる.
腎移植の移植部位は,今世紀はじめの動物実験では,頸部や大腿部に行われており,臨床例でも初期には大腿部に移植され尿管皮膚瘻術にしたものや,受者の腎動静脈へ同所性移植が行われたこともある.しかし,大腿部への移植では尿管皮膚瘻からの感染を生じやすく,同所性移植は,手技が困難であり,これらの欠点を解消するものとして,腸骨窩後腹膜において,腸骨動・静脈と移植腎動・静脈を吻合し,尿管は膀胱へ新吻合する術式が開発され,現在の標準手技となっている.
移植側は,提供者の腎地管系・尿路系の異常の有無や左右腎機能差の有無により選択されるが,両腎ともに異常がないときは,提供者の左腎を受者の右腸骨窩に移植する.その理由は,左腎は腎静脈が長く,しかも受者の腸骨動・静脈は右側のほうが浅い位置にあり,手術操作が容易でかつ術後の血管系合併症が少ないからである.以下に標準的な腎移植術式について述べる.
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