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今月の主題 デルマドローム—内科疾患と皮膚病変 内分泌・代謝疾患
糖尿病の皮膚Microangiopathy
著者: 北村啓次郎1
所属機関: 1慶大皮膚科
ページ範囲:P.1576 - P.1578
文献購入ページに移動糖尿病は全身諸臓器を広くおかす全身病で,皮膚もその例外ではない.糖尿病の皮膚Microangiopathyは糖尿病者の一見正常に見える皮膚にもみられ,皮膚の血液循環の障害による機能低下のために,いろいろな皮膚疾患が生ずることになる.皮膚の血管の変化は,全身どこにおいても認められるが,とくに前腕,下肢,指趾の皮膚に生じやすい.血管壁の変化は組織学的に網膜,腎糸球体,筋肉および末梢神経におけるMicrovasculatureの変化と同じであるが,その病因,とくに全身諸臓器の毛細血管基底膜の変化の成因については,未だ確定されていない.
最も普遍的な所見は,真皮上層の毛細血管壁肥厚で,これはPAS染色陽性Basement membranelike materialの沈着によるとされている.こうした沈着物はPericyteのまわりに生じ,さらに基底膜からその周囲のCollagen stromaへと連続的に沈着してゆき,ついに毛細血管を包埋するに至る.
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