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病気の治療と病める人間の治療—心身医学から精神病理学まで
著者: 柴田一郎1
所属機関: 1嶺町医院
ページ範囲:P.1668 - P.1668
文献購入ページに移動 ここ数年来,さまざまな患者の多彩な病変や病態をみながら,一体内科医として私は,主に患者の身体の一部分である臓器の病変の診断だけを考え診療をしてきたが,これでよいのであろうか,おそらく軽い感染性の病気などはそれで足りるであろう.しかし内科においても病める人格に対するアプローチの方法を考えなければならないのではないかと思うようになってきた.その間,数多く神経症の患者も診せられたり,ときには分裂症の患者を精神科に紹介したりしてきた.そのかたわらバセドウ病はもちろん,糖尿病などでさえ心身症としてあげられていることも知っていたし,また老人,あるいは癌などの患者の生命に対する不安感について真剣に考えるときもあり,なにかが従来の臨床医学には欠けていると思うようになってきた.
その頃,アレキシス・カレルではないが,「人間—その未知なもの」の本態を求めて何冊かのてっとり早い新書版を次々に読んでみたが,中公新書の池見酉次郎著「心療内科」(1963)と,同じ著者の「続・心療内科」(1973)の2冊を続けて読み得るところが多かった.前著には「病いは気から」の医学,後著には人間回復をめざす医学という副題があり,その副題にふさわしい内容を素人向きによく解説してある.
その頃,アレキシス・カレルではないが,「人間—その未知なもの」の本態を求めて何冊かのてっとり早い新書版を次々に読んでみたが,中公新書の池見酉次郎著「心療内科」(1963)と,同じ著者の「続・心療内科」(1973)の2冊を続けて読み得るところが多かった.前著には「病いは気から」の医学,後著には人間回復をめざす医学という副題があり,その副題にふさわしい内容を素人向きによく解説してある.
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