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臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集 IV.消化管疾患 4.食事療法のコツと注意
十二指腸潰瘍—小児
著者: 北山徹1
所属機関: 1関東逓信病院小児科
ページ範囲:P.1908 - P.1909
文献購入ページに移動近年,小児の消化性潰瘍は増加の傾向があるといわれ,その報告数も増えていて,子どもの現代病の一つとしても注目されている1〜4).これは診断技術の向上によることもあろうが,近代社会における変貌,とくにストレスの増加(学習塾通いなど)のほか,副腎ステロイド剤,サルチル酸療法などの医原病としての増加も考慮する必要があるといわれている.
小児期の消化性潰瘍の特徴としては,十二指腸に多く発生し,年長児になると成人のような慢性型もみられるが,しばしば発症が急激で頻回の嘔吐,大量吐血,穿孔,ショックなどで発病することが稀ではないことなどである.しかし,自然治癒傾向も強く,ふつう3〜4週間の治療で治癒することが多い,さらに治療面では,本症発生に諸々の因子が複雑に関与していることから全体医学的な加療が望まれる.緊急時を除き内科的治療でよいが,その重要なウエイトを占める食餌療法も小児期の食事の特性をよく理解しての適切な指示が必要となる.
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