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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻12号

1978年12月発行

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集

VII.代謝・栄養障害 4.高脂血症の治療

高脂血剤の現状と使いわけ

著者: 葛谷文男1

所属機関: 1名大第3内科

ページ範囲:P.2063 - P.2065

文献概要

高脂血剤使用にあたって
 高脂血症の薬物療法は,これを是正することにより患者に与える薬物による副作用よりもbenefitが多いときにのみ適応される.血清中の中性脂肪(以下TGと略す)を降下せしめると膵炎とかそれに伴う腹痛がとれるということが臨床的にはプライマリケアまたは救急治療と関係づけられるのみで,不可欠の治療法としての意義をあまり他に多く求めることはできない,Xanthomaも美容上,心理的な面でこれを縮小ないし除去することは,たしかに臨床的に意義はあるが積極性は欠く.結局のところ動脈硬化におけるcomplicationの予防が,これら薬剤により可能であるか否か,また必要であるかということのみが抗脂血剤の適応に対する根拠となっているにすぎない.
 高脂血症の治療にはまず食餌療法が優先されるべきであり,食餌療法を行う前にいきなり薬物療法を行うことはつつしむべきである.しかし,一度薬物療法を行うことを決定したときにはかなり長期間,おそらくは一生続けることを覚悟すべきである.また二次性高脂血症の場合はもちろん原疾患の治療が優先されるべきで,それでもなお高脂血症が存在し,患者の予後をそれが大きく左右すると考えられるときにのみ薬物療法を試みるべきである.しかし,原疾患の治療がまったく困難であることがわかっている場合は,対症療法として食餌療法を経て抗脂血剤が初期から投与されることはあり得る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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