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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻12号

1978年12月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集 XI.腎疾患 6.その他の腎疾患

遊走腎の症状と手術適応

著者: 町田豊平1

所属機関: 1慈恵医大泌尿器科

ページ範囲:P.2300 - P.2301

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遊走腎とは
 遊走腎とは,腎が生理的な移動範囲をこえて遊動する現象に対してつけられた疾患名である.しかし腎は生理的にも(臥位と立位,呼吸性)移動する臓器であり,正常の範囲の規定がむずかしい.このため臨床的には「立位によって腎の位置が異常に移動し,それに伴って症状の出現するもの」を遊走腎と称し,さらに字句上,遊走腎だけでは誤解を招きやすいので,症状を有する遊走腎を遊走腎症と呼ぶことが多い.こうした規定からもわかるように,遊走腎(症)は,腎移動の程度よりもむしろその症状によって診断されるので,臨床医の注目のしかたが問題となる.
 遊走腎の病態には,腎の移動に伴う腎偏位,尿管屈曲による尿流停滞,腎血管の捻転牽引による血流障害,および腎の周囲組織・臓器への圧迫刺激がみられる(図).したがって,腎の組織変化による症状,尿路の刺激症状,腹部諸臓器への関連症状など多様で,しかも不特定な症状が発現する.たとえば,患者の1/3は一般内科・外科に,1/3は胃腸科を受診,残りの1/3が泌尿器科を訪れるといわれたのも症状の多彩な背景を物語るものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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