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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻13号

1978年12月発行

今月の主題 リポ蛋白—最近の知識

高リポ蛋白血症

高カイロミクロン血症

著者: 熊谷通夫1

所属機関: 1都立清瀬小児病院

ページ範囲:P.2378 - P.2380

文献概要

「高カイロミクロン血症」の定義
 本来,「高カイロミクロン血症」という言葉の意味するものは,普通食を摂取している状態において,正常では食後すみやかに(1時間内)清澄となるべき血清が長時間に及んで白濁(カイロミクロンの残留)したままの状態をいい,血清の清澄機序に障害のあることを意味する一つの状態を指すものである.これは,採血後の血液を一昼夜4℃に放置すると,分離した血清がミルク様白色を呈するか,または白色クリーム状の層がトップにできることによって容易に確認できる.
 このような状態が招来される原因は単一なものではなく,病因的に種々あることがわかってきた.一般には家族性(遺伝性)のものと二次性(続発性)のものとに大別だれている.後者にはSLE,multiple myelome,dysglobulinemia,インスリン依存性糖尿病,経口避妊薬ステロイド,アルコール性高脂血症,糖原病(Ⅰ型),ネフローゼなどの場合にみられる高カイロミクロン血症があり,家族性のものとの鑑別診断上から念頭に置いておく必要がある.しかし現在はこれらの続発性のものに対しては「高カリロミクロン血症」という言葉は用いない.病因的に単一な疾患単位と考えられている「家族性高カイロミクロン血症」に限定して用いるのが普通で,「高カイロミクロン血症」と単にいえば,家族性(遺伝性)のものをいう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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