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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻13号

1978年12月発行

文献概要

今月の主題 リポ蛋白—最近の知識 高リポ蛋白血症

高HDL血症

著者: 梶山梧朗1 三好秋馬1

所属機関: 1広島大第1内科

ページ範囲:P.2388 - P.2389

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一次性高HDL血症
 動脈硬化症の患者には,しばしば血清HDL(高比重リポ蛋白)の低下がみられる.また,HDLには抗動脈硬化作用があると推定されている.故に,以下に述べる高HDL血症は通常の遺伝疾患というよりは,動脈硬化に罹患しにくい家系で「自然がつくりだした実験モデル」と考えるのが妥当と思われる。本症は近年Glueckら1)によって報告されたもので,米国シンシナチ地方の3000家族に及ぶ検診から発見された遺伝性高リポ蛋白血症である.しかし,他の高リポ蛋白血症,すなわち高LDL(低比重リポ蛋白)血症や高VLDL(超低比重リポ蛋白)血症が,冠動脈などを中心とした動脈硬化の進展にきわめて大きな役割をなしているのに対して,上述のごとく本症では,心筋梗塞などの動脈硬化に基づく疾患発生の頻度が,逆に通常の米国人家系に比して少ない.
 遺伝 Glueckら1)が発見した18家系には3代にわたる高HDL血症のみられるものもあり,また2家系は単独発生であったが,残りは2人以上に高HDL血症が発生しており,この残り16家系の22名の高HDL血症者が正常者と結婚し,子供の高HDL血症と正常との比が37:47であったという.このことから本症は,常染色体優性遺伝の形式をとると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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