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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻13号

1978年12月発行

文献概要

今月の主題 リポ蛋白—最近の知識 リポ蛋白と動脈硬化をめぐって

疫学からみた危険因子—冠動脈

著者: 荻野耕一1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所

ページ範囲:P.2411 - P.2413

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はじめに
 冠動脈硬化はほとんどが粥状硬化性であり,それが冠動脈疾患の主因をなしているので臨床では同じ意味に用いられる.そして粥状硬化の病因としてはAnitschkowの実験を発端としてその後の実験的研究,臨床および疫学の観察より,脂質代謝,とくに高脂質血症が重視されてきた.図1はFrammingham研究の一部である.30〜59歳男子の10年間追跡の冠動脈疾患罹患率で,初期総コレステロール値の高値なものほど罹患率の増加がみられる1).図2は冠動脈疾患発症頻度の異なる3つの人口集団における血清コレステロール値別の累積百分率である2)
 この冠動脈硬化発生に対する高脂質血症重視の見解は超遠心法によるリポ蛋白分画についてもひきつがれ,コレステロールやトリグリセライドの含量の多い低比重リポ蛋白(LDL)がとくに取り上げられてきた.しかし最近,冠動脈疾患発症に対する高比重リポ蛋白(HDL)の意義についての研究が行われ,冠動脈疾患の病因としてのリポ蛋白の意義は大きく変化し,また複雑となってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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