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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻3号

1978年03月発行

文献概要

今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた 随伴症状からみた胸痛

息切れ

著者: 今野淳1

所属機関: 1東北大抗酸菌病研究所内科

ページ範囲:P.330 - P.331

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はじめに
 息切れの原因として閉塞性,拘束性肺疾患,肺血管,心疾患,代謝性疾患,神経,筋疾患,心因性によるものなどがある.また,胸痛は胸壁など骨,筋肉,皮膚を含む表在性胸痛と,胸膜,心嚢,心,縦隔などを含む内臓性胸痛とに分けられるが,息切れを伴う胸痛は内臓性胸痛を伴うことが多い.
 息切れは数種の知覚の複合から起こる症状で,呼吸運動を行ってもそれに匹敵する換気が行われないとき,息切れを感ずる.息切れを起こす原因には,臓器障害性の息切れと,機能的,あるいは心因性の息切れがあるので,臓器障害性と心因性の息切れの鑑別には慎重でなければならない.心因性の息切れは休息時にも起こって,運動により増悪しない.夜間,息切れが起こって平らに寝られずに起きるときは,心臓性か気管支喘息が考えられる.ことに起坐呼吸のような状態になるときは,心肺の機能検査を速やかに実施して診断をつけるべきである.また,運動によって増悪する息切れは臓器障害性のことが多い.今まで健康な人間に突然起こる息切れは自然気胸によることが多い.突然起こる息切れには心臓性,ことに心筋梗塞,あるいは気管支喘息の初めのこともある.また,手術後の患者,あるいは長い間,就床していた患者に突然起こる息切れには肺塞栓症も考えねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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