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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻3号

1978年03月発行

文献概要

今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた 胸痛を伴う主な疾患

縦隔腫瘍

著者: 浜田朝夫1 松田昌子2

所属機関: 1大阪市立桃山市民病院 2大阪市立桃山市民病院内科

ページ範囲:P.374 - P.375

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縦隔腫瘍と胸痛
 縦隔腫瘍の主訴として胸痛が重きを占めるとは必ずしもいえない.むしろ縦隔腫瘍の特徴は,その疑いをもたすような自覚症状がなく,検診などの機会に,偶然に胸部x線上に異常陰影を認められ,検査をはじめる場合が多い.
 しかし,胸痛は血行閉塞,嗄声,嚥下困難,咳,リンパ節腫脹などとともに縦隔腫瘍の主要な自覚症状である.すなわち,腫瘍が無自覚的に増大し,縦隔内の周辺臓器に圧迫,侵襲を及ぼした場合である.縦隔はそのゆるやかな結合織の内に上部縦隔には胸腺,上部食道,気管,胸管,大動静脈,横隔膜神経,反回喉頭神経,交感・迷走神経が,中・後縦隔にも心嚢,心,主気管支,肺動静脈など多くの臓器が輻輳して存在する.したがって,これらの臓器へ影響が及べば胸痛の原因になりうる,その痛みは胸骨の後または肩甲間部に訴える胸膜性の疼痛から,肋間神経さらには脊髄神経内へ病変が進展すれば強い痛痛を伴う.痛痛がはじまり,それが急に,かつ持続性に増強するような場合は、腫瘍の性質が悪性であることを考えなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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