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文献概要
今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた 胸痛を伴う主な疾患
縦隔腫瘍
著者: 浜田朝夫1 松田昌子2
所属機関: 1大阪市立桃山市民病院 2大阪市立桃山市民病院内科
ページ範囲:P.374 - P.375
文献購入ページに移動縦隔腫瘍の主訴として胸痛が重きを占めるとは必ずしもいえない.むしろ縦隔腫瘍の特徴は,その疑いをもたすような自覚症状がなく,検診などの機会に,偶然に胸部x線上に異常陰影を認められ,検査をはじめる場合が多い.
しかし,胸痛は血行閉塞,嗄声,嚥下困難,咳,リンパ節腫脹などとともに縦隔腫瘍の主要な自覚症状である.すなわち,腫瘍が無自覚的に増大し,縦隔内の周辺臓器に圧迫,侵襲を及ぼした場合である.縦隔はそのゆるやかな結合織の内に上部縦隔には胸腺,上部食道,気管,胸管,大動静脈,横隔膜神経,反回喉頭神経,交感・迷走神経が,中・後縦隔にも心嚢,心,主気管支,肺動静脈など多くの臓器が輻輳して存在する.したがって,これらの臓器へ影響が及べば胸痛の原因になりうる,その痛みは胸骨の後または肩甲間部に訴える胸膜性の疼痛から,肋間神経さらには脊髄神経内へ病変が進展すれば強い痛痛を伴う.痛痛がはじまり,それが急に,かつ持続性に増強するような場合は、腫瘍の性質が悪性であることを考えなければならない.
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