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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻3号

1978年03月発行

文献概要

今月の主題 胸痛の診かた・とらえかた 胸痛を伴う主な疾患

ゴルフ骨折

著者: 石田肇1

所属機関: 1日医大理学診療科

ページ範囲:P.376 - P.377

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はじめに
 整形外科領域で骨折の特有な機転として,マラソンや長距離の強行軍のときに,くり返しの筋肉の収縮による小外傷により,ちょうど,針金を何回も折りまげていると金属に疲労現象が起こって連続性がたたれついには折れてしまうのと同様に,下腿の脛骨上部や足の中足骨部に疲労骨折を起こすことが知られている.他方,野球のピッチャーにみられる上腕骨骨折や,破傷風や,精神科などで用いられる電気ショック療法で,相反する方向に筋力が作用したり,痙攣による反復する筋収縮により,すなわち,自家筋力で,上腕骨や脊椎骨椎体の圧迫骨折を起こすことが知られている.この自家筋力によりくり返しの外傷が加わるために,ついには骨の連続性が断たれ疲労骨折を起こすことは,Clay-Shoveller fractureシャベル骨折の棘突起骨折,cough fracture咳骨折の肋骨骨折などが有名である.
 これとまったく同じ機転で,最近の老若を問わないゴルフブームで,ことに連日indoorで何百回もゴルフスイングをすることにより,肋骨骨折を起こすのが,ゴルフ骨折あるいはゴルフスイング骨折である.臨床的には頑固な胸痛を訴えることと,既往に,ゴルフを始めて,数ヵ月以内で,猛練習をしている最中に突発的な胸痛を覚えることなどがある.これは,胸痛を伴う疾患として重要な項目の一つで,整形外科医が診るより内科医の手にかかることの多いことで注意を喚起する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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