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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻4号

1978年04月発行

文献概要

今月の主題 新しい糖尿病の臨床 トピックス・病態

赤血球2,3-DPGとAIC

著者: 河野典夫1

所属機関: 1阪大第2内科

ページ範囲:P.520 - P.521

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2,3-DPGの働らき
 2,3-DPG(2,3-bisphosphoglycerate,DPG)は解糖系の下位でRapoport-Lueberingサイクルを形成する赤血球解糖中間体で(図1),血球内有機燐酸化合物の約65%を占め,その濃度は他の中間体に比べ約5mMと圧倒的に高く,血球内ヘモグロビン(Hb)濃度ともほぼ一致する.はからずも1967年Chanutinら,Beneschらによって,DPGにはHbと酸素との結合を阻害する作用のあることが見出され,組織での酸素放出を調節する重要因子として注目されている.
 図2にHbの酸素解離曲線を示した1).肺胞での酸素分圧(Po2)はほぼ100mmHgであり,約95%のHbが肺で酸素化をうける.末梢組織での酸素分圧は約40mmHgであるからHbの酸素飽和度は70%になり,その差25%の酸素が組織に供給されることになる.一般に酸素解離曲線の右方移動,換言すれば,酸素飽和度50%時の酸素分圧=P50が上昇すれば,組織への酸素放出は増大し,逆にP50が低下すれば酸素放出は減少する士たとえば,赤血球内のDPGはデオキシ型Hbと強く結合し,酸素親和性の低いHb-DPGを形成するので,血球内のDPG含量が増加すればP50は上昇する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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