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今月の主題 消化・吸収の基礎と臨床 栄養素と酵素蛋白の吸収
小腸における脂肪吸収
著者: 石森章1 長崎明男2
所属機関: 1東北大第3内科 2東北大内科
ページ範囲:P.630 - P.635
文献購入ページに移動日本人の脂肪摂取量は年々増加しているが,欧米の1日脂肪摂取量に比べて半分以下の50gに満たず,総カロリーの20%ぐらいである1).一般に摂取された脂肪は胃内滞留時間が長く,50g脂肪負荷の場合,4〜6時間で十二指腸に達するといわれ,1時間あたり8〜12gの脂肪消化が小腸で行われる.正常状態では,脂肪の消化・吸収は主に空腸で行われ(図1),1日に150〜200gの脂肪を吸収できることが知られている.したがって,通常の脂肪摂取量の際認められる糞便中の脂肪は未吸収のものではなく,小腸や大腸の粘膜上皮細胞や腸内バクテリアに由来する内因性のものである.
われわれが食物として摂取する脂肪は中性脂肪が大部分であるが,最近ではコレステロールの摂取も増加する傾向にあり,そのほか動・植物の細胞成分であるリン脂質などの脂質があるが,量的にはきわめて少量である.これら脂肪の消化・吸収は種類によりそれぞれ特徴が認められるので,以下,各項目に分けて概説するとともに,脂肪吸収における消化管ホルモンの役割など,最近の知見についても述べることとする.
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