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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻6号

1978年06月発行

文献概要

今月の主題 免疫診断法と免疫療法 基礎知識

免疫監視機構と老化・発癌

著者: 岸本進1 黒木政秀1

所属機関: 1熊本大第2内科

ページ範囲:P.769 - P.773

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免疫監視機構
免疫監視機構とは
 腫瘍の発生,転移,退縮,再発には,生体の免疫機能がなんらかの影響を及ぼしていると考えられている.Ehrlich(1908)は,生体の免疫機能が腫瘍発生を防いでおり,老人のごとく免疫機能が低下した場合に腫瘍が発生し増殖するという考えを提唱し,もしこのような免疫機能が存在しなければ,発癌の頻度はきわめて高いものになるだろうと述べている.
 その後,純系動物の実験使用が可能となって,この腫瘍免疫が動物レベルで証明されてきた.Forey(1953)は,純系マウスでmethylcholanthrene(MCA)誘発腫瘍を皮下に移植し,腫瘍が発育したあと腫瘍を結紮し,血行を遮断したマウスに再び自家腫瘍を移植したところ,これらのマウスが腫瘍を拒絶することを認め腫瘍免疫が成立することを証明した.これに続いてPrehn(1975),G. Klein(1960)らが同じくMCA誘発腫瘍でマウスに腫瘍免疫が成立することを証明し,腫瘍細胞に腫瘍特異の移植抗原が存在すると考えた.G. Kleinは,これを腫瘍特異移植抗原(tumor specific transplantation antigen;TSTA)と呼んだ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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