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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻6号

1978年06月発行

文献概要

今月の主題 免疫診断法と免疫療法 基礎知識

免疫寛容と自己免疫

著者: 塩川優一1

所属機関: 1順大内科

ページ範囲:P.774 - P.777

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はじめに
 今では,全身性エリテマトーデスの患者の血清中に抗核抗体が証明されるということは常識となっている.ところで抗核抗体といえば抗原は細胞核であり,細胞核はどの生物でも全身のいたる所にみられるふつうの自己の組織の成分である.ところがこのように自己の成分を抗原として生じた自己抗体というものは,誰でも持っているわけではない.それではどうして特定の患者にのみ見られるのであろうか.
 現在の考えでは,正常人には細胞核があってもそれに対して免疫が働かないという状態にあり,これを寛容(tolerance)とよんでいる,そして寛容が破れると免疫(immunity)の働きが出現し抗体が産生されるのである.したがってこの寛容という現象は,抗核抗体などの自己抗体の産生,さらに自己免疫病の発症に重要であることがわかる.以下この概念についてわかりやすく説明してみよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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