文献詳細
文献概要
今月の主題 免疫診断法と免疫療法 免疫療法
免疫抑制剤
著者: 高久史麿1
所属機関: 1自治医大内科
ページ範囲:P.818 - P.822
文献購入ページに移動免疫抑制剤は,生体内における免疫反応を抑制することによって治療効果を表す薬剤の総称である.免疫抑制剤は表1に示したごとく①副腎皮質ステロイド,②細胞毒性免疫抑制剤,③抗原特異性免疫抑制剤の3種類に大別される,このうち最後の抗原特異性免疫抑制剤,すなわち抗リンパ球血清,抗Rh抗体については別稿で取り扱われているので,ここでは副腎皮質ステロイドと細胞毒性免疫抑制剤の両者について述べる.
免疫抑制剤は,免疫反応がその病態の発現に関与しているすべての疾患に対して適応がある.その主要なものを示したのが表2で,その適応範囲はきわめて広範囲に及んでいる.副腎皮質ステロイド剤と細胞毒性免疫抑制剤とはともに表2に示した疾患の大部分のものに対して有効で,この両者は臨床的にしばしば併用されて用いられている.しかしながら,副腎皮質ステロイドは免疫抑制作用とともに強い抗炎症作用を有しているのに対して,細胞毒性免疫抑制剤は免疫担当細胞の増殖および分化に対する抑制作用が主で,抗炎症作用は免疫の抑制に伴って現れてきたものである.したがって,この両群の薬剤の使用法は個々の疾患によって相違があり,たとえば表2の最初に示したアレルギー性疾患の場合には,もっぱら副腎皮質ステロイドが用いられている.本稿においては,副腎皮質ステロイド剤と細胞毒性免疫抑制剤の各々についてその作用の機序,臨床的応用ならびに副作用について述べる.
掲載誌情報