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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻6号

1978年06月発行

今月の主題 免疫診断法と免疫療法

免疫療法・これから期待されるもの

胸腺因子

著者: 大沢仲昭1

所属機関: 1東大第3内科

ページ範囲:P.842 - P.843

文献概要

胸腺因子とは
 胸腺はT細胞の分化を誘導して生体の免疫機能を維持している.図1はヒトにおける免疫系機能の誘導機構を示しているが,骨髄中のT前駆細胞が胸腺を経てT細胞に誘導される.このT綿胞には種々の段能を有する群があり,細胞性免疫を司るとともに,B細胞に対しても調節作用を及ぼして体液性免疫にも影響を与えている.この胸腺の作用を具体的に担っている物質的基盤が胸腺因子(胸腺液性園子,胸腺ホルモン)であると考えられている.
 T細胞の分化を僕式的に示すと図2のように、T前駆細胞(T0)から未熟なT1,T2と徐々に誘導され,機能を有するT細胞となる.胸腺因子は誘導の過程のいずれにおいても作用する可能性があるが,現在得られている胸腺因子には最初の過程に確実に作用するものは未だ証明されておらず,大部分はそれ以後に作用するものである.一つの胸腺因子がすべての過程に作用する可能性もあるが,現在の考えは,多数の胸腺因子が個々の過程に作用し,これらが一群となってはじめて完全なT細胞が誘導されるのではないかということである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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