文献詳細
文献概要
今月の主題 実地医のための臨床細菌学 抗菌剤感受性と耐性
β-lactamaseと薬剤耐性
著者: 横田健1
所属機関: 1順大細菌学
ページ範囲:P.997 - P.999
文献購入ページに移動はじめに
ベニシリン類(penicillins:以下PC)とセファロスポリン誘導体(cephalosporin derivatives:以下CES)は,細菌特有の細胞壁主成分ムレイン(murein)の生合成を阻害して抗菌力をあらわすので1,2),作用点をもたない動物細胞にはほとんど影響を与えない.そこで,これらの薬剤はアレルギーの注意をすれば最も副作用の少ない化学療法剤として,今日広く臨床医学に応用されている.しかし,近年それに対する耐性菌が増加しつつあり,感染症の治療が困難になってきた.
PCとCESはその化学構造の中にβ-lactamと呼ばれる環状の部分をもつので,β-lactam drugと総称される.β-lactamaseというのは臨床材料など自然界から得られるPC,CES耐性菌が作る酵素で,これら薬剤のβ-lactam環を加水分解により開裂し,抗菌力を失わせるものである(図1).
ベニシリン類(penicillins:以下PC)とセファロスポリン誘導体(cephalosporin derivatives:以下CES)は,細菌特有の細胞壁主成分ムレイン(murein)の生合成を阻害して抗菌力をあらわすので1,2),作用点をもたない動物細胞にはほとんど影響を与えない.そこで,これらの薬剤はアレルギーの注意をすれば最も副作用の少ない化学療法剤として,今日広く臨床医学に応用されている.しかし,近年それに対する耐性菌が増加しつつあり,感染症の治療が困難になってきた.
PCとCESはその化学構造の中にβ-lactamと呼ばれる環状の部分をもつので,β-lactam drugと総称される.β-lactamaseというのは臨床材料など自然界から得られるPC,CES耐性菌が作る酵素で,これら薬剤のβ-lactam環を加水分解により開裂し,抗菌力を失わせるものである(図1).
掲載誌情報