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文献詳細

雑誌文献

medicina15巻7号

1978年07月発行

教養講座・比較生物学 生命と環境との調和

尿素・尿酸の排泄

著者: 松田佳子12 勝沼信彦1

所属機関: 1徳島大酵素研究施設 2徳島大酵系化学

ページ範囲:P.1036 - P.1040

文献概要

はじめに
 多くの動物において,蛋白質,アミノ酸の窒素の終末代謝産物は,アンモニア,尿素または尿酸のいずれかの形で排泄されている.そして窒素終末排泄型はそれぞれの生物の胚の発生時の環境での利用可能な水の量と密接な関係にあるとするNeedham1,2)の考えは広く知られている.すなわち,多くの水生動物のごとく,その環境に豊富な水の利用が可能な場合,窒素終末産物はアンモニアのままで排泄される,また,多くの陸上に棲む哺乳動物や両生類では尿素が終末産物として排泄されている.一方,爬虫類や鳥類,昆虫では,水の利用がきわめて限られている閉鎖卵の中で胚の発生が起こり,したがって窒素終末代謝物は水に最も不溶性の尿酸である.このように,排泄する窒素化合物の種類によって,動物をそれぞれアンモニア排泄性動物,尿素排泄性動物,尿酸排泄性動物と大きく3群に分けることができる.
 ただ,これはそれぞれの動物がいずれの形で大部分の窒索化合物を排泄しているかということであって,なかには2つ以上の窒素化合物を半分半分排泄しているものやら,トリメチルアミンオキシドのような他の化合物を排泄している生物もいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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