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今月の主題 慢性骨髄増殖症候群 病態
染色体変化
著者: 宮田久寿1 篠原多美子2
所属機関: 1日赤医療センター血液科 2日赤医療センター染色体
ページ範囲:P.1101 - P.1105
文献購入ページに移動Philadelphia染色体(Ph1染色体) 慢性骨髄性白血病(CML)の患者の骨髄細胞には,ほとんどすべての症例に共通して存在する特有な微小染色体が認められる.この異常染色体は,1960年ペンシルバニア大学のNowellと癌研究所のHungerfordによって発見され,発見された地名にちなんでPhiladelphia染色体と名づけられ,通常はPh1染色体と呼ばれている.Ph1染色体はCMLに特有なもので,この発見は染色体異常と腫瘍化との関連を考える上できわめて重要な意義をもっており,またPh1染色体の存否はCMLと類似の血液疾患,ことにCML以外の骨髄増殖症候群との鑑別診断の上で,好中球alkaline phosphatase活性低下とともに重要な役割を果たしている.
Ph1染色体の形態的特徴 ヒトの休細胞の染色体は46個で,22対の常染色体(autosome)と1対の性染色体(sex chromosome)からなり,性染色体は男性ではXY,女性ではXXの組み合わせからなっている.常染色体は長さの順に1から22までの番号を付し,さらに着糸点(centromere)の位置によってA,B,C,D,E,F,Gの7つのグループに大別される.
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