icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina15巻9号

1978年09月発行

文献概要

今月の主題 肝疾患のトピックス 検査法の進歩

肝生検による肝硬変の診断とその限界

著者: 奥平雅彦1

所属機関: 1北里大病理

ページ範囲:P.1290 - P.1291

文献購入ページに移動
はじめに
 肝生検材料を病理組織学的に検査することの最大の利点は,肝生検を反復施行することによって組織レベルで肝疾患の病的機転を,経時的に追求し把握することができるということであろう,事実,わが国では患者数の多いウイルス性肝炎の診断には,病期,活動性か非活動性か,進行性か治癒過程にあるのかなどの判定に最も確実な手がかりを得る方法として肝生検が広く行われている.
 しかしながら,肝硬変の診断となると事情が異なってくる.というのは,肝硬変の正しい診断は肝の部分性状によって行われるのではなく,肝全体にみられる変化に対して行うべきものだからである.したがって,肝全体の約1/50,000にすぎないとされる針生検材料や,約1/2,500にすぎない外科的なedge biopsyの材料による肝硬変の組織診断は,検査材料の矮小性から考えて,かなりむずかしいものであるという認識が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?