文献詳細
文献概要
医師の眼・患者の眼
小島寮の母
著者: 松岡健平1
所属機関: 1済生会中央病院内科
ページ範囲:P.165 - P.167
文献購入ページに移動四国山脈は北側の傾斜が急峻で,南側はなだらかに太平洋に没する.この山地の西寄り伊予と土佐との国境に大野ケ原というカルスト台地がある.四国にもこんなに雄大な景観がと思うところで,白い石灰岩が露出して点在し,朝霧がたなびく頃,あたかも白馬の大群が行進するかのごとく見える.一名源氏ケ駄場と呼ばれている.
私の郷里は松山市であるが,中学・高校時代当時としては珍しく越境入学していた男がいた.大野ケ原の近くの村からきていた近沢俊明という実につい奴だった.松山南高校を出ると,近沢君は日大に進んで上京し,私は浪人になって上京した.昭和29年のことである.11月も終わりに近く,はじめての木枯らしが強い午後,近沢から電話があった.
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