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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻10号

1979年10月発行

文献概要

今月の主題 酸塩基平衡の実際 酸塩基平衡異常の臨床・循環不全

心不全

著者: 齋明寺央1

所属機関: 1京大第3内科

ページ範囲:P.1492 - P.1494

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酸塩基平衡異常の循環系への影響
 心筋収縮性 アシドーシスはアルカローシスよりも強く心筋機能を抑制し,対エピネフリン反応性を減じ,心室細動の閾値を下げる1).Katz2)によると,虚血心筋が嫌気性エネルギー産生時に生ずる乳酸によるアシドーシスはCa++の心筋sarcoplasmic reticulumへの結合を強めて心筋の収縮性を障害する.また細胞内H+濃度の増加は,心筋収縮機構のCa++感受性蛋白であるトロポニンのCa++結合部位からCa++を追い出して陰性変力効果を発揮する.
 ヘモグロビン(Hb)の酸素解離曲線 左方変位(酸素親和性増大)はalkalemia(H+減少),低体温,hypocarbia(PCO2減少),2,3-diphosphoglycerate(2,3-DPG)減少により,右方変位(酸素親和性減少)はacidemia(H+増加),高体温,hypercarbia(PCO2増加),2,3-DPG増加により起こる.赤血球内2,3-DPGはHbの酸素親和性を減じ,組織への酸素供給を促進する3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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