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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻11号

1979年10月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集 I.尿検査

4.尿pH

著者: 猪狩淳1

所属機関: 1順大臨床病理

ページ範囲:P.1632 - P.1633

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異常値を示す疾患
 健康人の尿pHは4.5〜8.0の間で変動し,新鮮尿ではだいたいpH5〜6の弱酸性である.このような大きな変動幅をもつ尿pHの異常値はどこかというと,他の検査所見のように健康人でみられる範囲をはずれたら異常値という考え方はできない.健康人でも睡眠中は肺換気量減少のため呼吸性アシドーシスの状態となり,尿は酸性となり,起床とともに低下したpHはもとにもどる(morning alkaline tide).また食後尿は,食物にもよるが,だいたいアルカリ性に傾き(post parandial alkaline tide),1〜2時間後にふたたび酸性となる.一般に動物性タンパク摂取後は酸性に,植物性食品ではアルカリ性に傾き,はげしい運動後は血漿中乳酸が増加し,一過性のlactic acidosisとなり,尿は酸性を示すといわれている.したがって,尿pH5あるいは8という成績がかえってきても,果たしてこの値が生理的なものか,異常状態のためにあらわれたものなのかを区別するのは困難である.もちろん尿pHが4以下,8以上であれば異常値といえるが,病的状態における変動でもこのようなことはまず起こらない.したがって,尿pH検査のデーターのみをみた場合,疾病診断としての有用性に乏しい.
 尿pHが酸性(アルカリ性)を示す疾患を表に示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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