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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻11号

1979年10月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集 VIII.血液化学検査

91.アンモニア窒素

著者: 高橋善弥太1 吉田洋1

所属機関: 1岐阜大第1内科

ページ範囲:P.1844 - P.1845

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異常値を示す疾患
 肝性昏睡の起因因子の一つとしてアンモニアが関係していることは今日常識となっている.血中アンモニアの起源としては腸管,胃,腎,筋肉,白血球,皮膚などがあげられる,腸管内では細菌によるアミノ酸の分解によりアンモニアが生じる.また,体内で合成された尿素の1/4は腸肝循環を行っており,この腸管経路で腸管ウレアーゼによる分解で生ずるアンモニアは1日4gといわれている.これら生じたアンモニアの処理機構は肝の尿素サイクルが第一であるが,筋肉でもグルタミンの合成経路などでアンモニアが処理される.
 猪瀬型肝脳疾患,Eck瘻術後などの短絡型肝脳疾患では,腸管より吸収されたアンモニアが肝で代謝されず大循環中に入り,海馬などの大脳辺縁系に働いて興奮,情動行動の異常,健忘,羽ばたき振戦,唾液分泌の亢進などの症状を起こし昏睡に陥る.しかし,劇症肝炎では血中アンモニアは中等度の上昇しか示さないこと1)や,昏睡の発現と血中アンモニア濃度との相関がそれほど高くないことなど,肝性昏睡のすべてを高アンモニア血症で説明することはむずかしい.この点について低級脂酸2)やメルカプタンがアンモニアの毒性を増幅させるためであるという考え方もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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