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文献詳細

雑誌文献

medicina16巻11号

1979年10月発行

文献概要

臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集 VIII.血液化学検査

96.Na

著者: 湯浅繁一1 飯田喜俊1

所属機関: 1大阪府立病院腎疾患センター

ページ範囲:P.1856 - P.1857

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異常値を示す疾患
 体内電解質のなかでも,Naは主として細胞外液中に存在し,体液量(とくに細胞外液量)の維持,浸透圧の保持に重要な役割を果たしている.通常,血清Na濃度が150mEq/l以上で高Na血症,135mEq/l以下で低Na血症と呼ばれているが,血清Na濃度の変化は細胞外液におけるNaと水のバランスによって決められるのであり,決して体内全Na量を反映しているのではないことに留意すべきである.いいかえれば,高Na血症とはNaに対して水が少ない場合,すなわちhypertonicityの状態であり,逆に低Na血症はNaに対して水が多い場合,hypotonicityの状態を示していると考えられる.
 図1,2はSchrierの総説から引用した高Na血症,低Na血症の分類であるが,図のごとく高Na血症でも体内Na量の減少している場合,また低Na血症でも体内Na量はむしろ増加している場合があることに注意せねばならない.とくに後者の場合には低Na血症があるからといってNaを投与すると,かえって病状は悪化することになり,単にNa濃度だけで判断するのではなく,水バランスの状態を把握した上で治療に当たる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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